そうかNothing really mattersなんだなと、Bohemian Rhapsodyを聞いていて思った話

「Bohemian Rhapsody」って曲、ご存知ですか? 英国のバンドQUEENのヒット曲ですね。わたしは女子高生のころからQUEENのファンですので、かれこれ30年以上聴いていることになります。ヤバいですね、でも飽きないですね(笑)。今日はこの彼らの代表曲を聴いていて、あっ、これは混沌を乗り越える物語なんだなと気が付いたのでその話を。

ロック史に残る名曲です

まずはYouTubeから動画をご紹介しつつ。Bohemian Rhapsodyですね。
名曲です。
聞いたことない方は、この曲とさらに数年前の映画「ボヘミアン・ラプソディー」を見てみるといいと思います。よいです。
QUEENは個性的なバンドでして、あとにも先にもQUEENっぽいバンドって居ないんですよ。そのQUEENの代表曲といえばやっぱりこれだと思います。

バラードで始まって、途中でオペラになって、ハードロックになって、バラードで終わるという。当時のロックミュージックの常識をくつがえす曲でした。ナニコレってみんな目を丸くしたんですよ。

そして音楽性と共に、歌詞が大変深いんですよね。
今日はその歌詞の深さについて語ります。

歌詞をちょっと意訳しながら紹介します

Is this the real life?
Is this just fantasy?
Caught in a landslide
No escape from reality

これは現実? 
それともファンタジー?
地滑りに飲みこまれたように、
現実から逃れられない

Open your eyes
Look up to the skies and see

目を開けて、空を見上げて

I’m just a poor boy
I need no sympathy

僕はただのザコだ
同情は要らない

Because I’m easy come, easy go
Little high, little low
Any way the wind blows
Doesn’t really matter to me, to me

なぜって、僕はテキトーに生きてきただけだから
ちょっと良い事もあれば、ちょっと嫌な事もある
なんにしても風は吹く
僕には本当に何でもないことなんだ 僕にはね

- - - - - -

Mama, just killed a man
Put a gun against his head
Pulled my trigger
Now he’s dead

ママ 今、人を殺してきた
彼の頭に銃をつきつけて
引き金を引いたら、そいつが死んじゃったんだ

Mama, life had just begun
But now I’ve gone
And thrown it all away

ママ 人生は始まったばかりなのに
僕は、すべてを投げ捨ててしまった

Mama, ooh
Didn’t mean to make you cry

ママ 悲しませるつもりはなかったんだ

If I’m not back again
This time tomorrow
Carry on, carry on
As if nothing really matters

明日の今頃になって、もし僕が帰ってこなくても
続けて、続けて 変わらずにいて
まるで何もなかったみたいに

Too late, my time has come
Sends shivers down my spine
Body’s aching all the time

もう手遅れだ 報いを受ける時が来た
背筋が震えて 体がずっと痛んでる

Goodbye, everybody
I’ve got to go
Gotta leave you all behind
And face the truth

さよなら みんな
僕は行かなきゃならない
みんなと別れて 現実に向き合うのさ

Mama, ooh
(Any way the wind blows)
I don’t wanna die
I sometimes wish
I’d never been born at all

ママ
(いずれにせよ風は吹くのさ)
死にたくないよ
時々思うんだ
いっそ生まれてこなきゃよかったって

- - - - - -

I see a little silhouetto of a man
Scaramouche, Scaramouche
Will you do the Fandango?

(本人)
小さな人影が見えるよ…

(誰かの声)
スカラムーシュ スカラムーシュ
ファンダンゴを踊ってくれよ

Thunderbolt and lightning
Very, very frightening me

稲妻と雷鳴が
とても、とても恐ろしい

(Galileo) Galileo, (Galileo) Galileo
Galileo Figaro magnifico
ガリレオ ガリレオ
ガリレオ フィガロ 偉大な人よ

But I’m just a poor boy
Nobody loves me
(本人)でも僕はただのザコだ
誰も僕を愛してくれない

He’s just a poor boy
From a poor family
Spare him his life
From this monstrosity
(誰かの声)彼はどうしようもない家庭に育った
ただの哀れな少年
ひどい運命から
彼を救いたまえ

Easy come, easy go
Will you let me go?
(本人)テキトーに生きてきたんだ、仕方ないじゃん
見逃してくれよ

Bismillah! No 
We will not let you go
(Let him go!)
Bismillah! We will not let you go
(Let him go!)
Bismillah! We will not let you go
(Let me go)
Will not let you go
(Let me go)
Will not let you go
(Let me go) Ah
No, no, no, no, no, no, no

神の御名において! ノーだ
神の御名において! 我々はお前を逃がさない
(見逃してやれ)
我々はお前を逃がさない
(見逃してよ)
我々はお前を逃がさない
(見逃してくれってば)

駄目だ ノー、ノー、ノー!

(Oh, mamma mia, mamma mia)
Mamma mia, let me go
Beelzebub has a devil
Put aside for me, for me, for me!

(ああ なんてことだ)
なんてことだ 見逃してくれよ

魔王ベルゼブブが
僕に向けて悪魔を差し向けたぞ、この僕に!

- - - - - -

So you think
You can stone me
And spit in my eye?

ああ、あんたは僕に石を投げて
目にツバを吐こうとしてるんだな?

So you think
You can love me
And leave me to die?

ああ、あんたは僕を愛したくせに
僕が死ぬまで放っておこうっていうんだな?

Oh, baby
Can’t do this to me, baby!
Just gotta get out
Just gotta get right outta here!

あぁ 愛しいひと
僕にそんな事できやしないさ ベイビー!
逃げ出さなきゃ
ここからすぐに逃げ出さなきゃ!

- - - - - -

Nothing really matters
Anyone can see
Nothing really matters
Nothing really matters to me

Any way the wind blows

大切なことなんて何ひとつない
みんな本当は知ってるんだ
なんでもないさ
なんでもないことなのさ 僕にはね

なんにしろ風は吹くのさ

解釈は分かれるのですが、わたしはこのように判断しています

最初のパートのころは、主人公(?)は、人を殺してしまったことを悔いて、嘆いています。
それを母に呼びかける形で独白しています。
察するに、自首しようとしているようです。

行かなくちゃと思うんだけど、怖い。
そうした思いで、彼の頭の中でいろんな人が騒ぐわけですよ。ガリレオガリレオ(?)って。
オペラパートのところですね。

頭の中で、いろんな意見が交差して、彼は混乱する。

そしてその混乱がとけて、オペラパートからハードロックパートに移行。

さっきまでは「俺貧乏だし、ザコだし、見逃してよ」って命乞いしてたのに、
なんなんだよチクショウ!
ってなるわけです(笑)。
このクソみたいな理不尽と、俺は戦うぞ! ってなるんです。

なんか開き直っちゃうんです。

そして、Nothing really matters です。
これ直訳すると「大事なことは何もない」でして、口語として「なんでもないよ~」とか「別に?」みたいな使い方をするみたい。
「今、なんの話してたの~?」「別に、なんでもないし」みたいな用法の言葉です。

人殺しをしてしまった彼がどうなったか。自首したのか、どうしたのか、
結末は誰も分からないのです。

占い的には乾から坎、坎から艮へのサイクルかと

これをいちおう東洋系占いのサイクルで読み解くと、

罪を犯してしまった → 状況が極まっている・追い詰められている → 六白・乾

どうしたらいいか分からなくて混乱している、迷っている → 一白・坎

どうしたらいいか分からないまでも、立ち上がった → 開き直った? → 八白・艮

……という感じに読めるんですよね。
追い詰められた人が、つらい混沌の時期を乗り越える物語にも読めます。

自暴自棄になったとみる解釈もあるようですけど、わたしは混沌(オペラパート)を通った後に、勢いを取り戻して立ち上がるのだと思っています。
何しろ曲調がハードロックで、奮い立ったように思えるので。

だってしょうがないじゃん! 
もうやっちゃったし、どうにもならないんだもん!

だから、さあ来るなら来い! ってなったんだと思うんですよね。

何度も出てくる、Nothing really matters

やはり鍵になるのは、Nothing really mattersだと思うのですね。
「大したことじゃないでしょ!」って。
人を殺しといて、それはないでしょ。と言えば、そりゃまあそうなんですけども(笑)、
でも、覆水盆に返らずで。成ってしまったことは元に戻らないのです。
やってしまったことは逆流しないのです。

で、あれば、これからどうにかするしかない。
向き合っていくしかない。

そうしたことで、受け入れる。
やったことを受け入れて、覚悟を決めて、生きていくしかない。

Bohemian Rhapsodyは、壮大な「開き直り」の話なのではないかなあと。
名曲を何度も聴きながら、そんな風に思ったのでした。

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