必死になって頑張るのは、人生を面白く過ごすためのシンプルなライフハックでもある/「殺し屋の営業術」の感想

“ほんとうのわたし”の実力があれば、無双できるっていう物語、みなさん好きですよね。わたしは基本的にはそういう話はノーサンキューで。“ほんとうのわたし”などという幻想について興味が無いわけなのですけども。
人格とかキャラクターそのものではなくて、主人公が身に着けておいたスキルに主眼があって、そのスキルが役立ってチートできる、みたいな物語は好きですね。なんか人生に能動的じゃないすか。

表題にした「殺し屋の営業術」の感想がてら、ちょっとその辺の話を。

2025年の江戸川乱歩賞、受賞作品です

わたしは10代~20代のころは小説をよく読んでいて。海外ミステリがけっこう好きだったんですよね。3日に1冊ぐらい読んでました。アガサ・クリスティ、エラリィ・クイーン、ジョン・ディクスンカーあたりから、ハードボイルド系だとロス・マクドナルドや、エド・マクベインが好きですね。エド・マクベインについては、文体が好きすぎて、わたし自身が小説書く時の文体まで似ちゃってますね。

なので、最近の、殺人じゃないミステリものって、たまに読むと面白いなあって素直に思います。先日たまたま見た、佐藤二朗主演映画の「爆弾」も、連続殺人モノのオマージュになってて、すごく良かったです。
実のところ、30代から今に至るまで、小説読まなくなっちゃってて。平たく言うと飽きちゃってて。年に1冊読むかどうかになってしまってるんですが、
今になって、たまに話題作を読むといい感じに新鮮で面白いです。

さて前置きが長くなりました。

殺し屋の営業術」。
2025年の江戸川乱歩賞、受賞作品です。

Amazon.co.jp: 殺し屋の営業術 電子書籍: 野宮有: Kindleストア
Amazon.co.jp: 殺し屋の営業術 電子書籍: 野宮有: Kindleストア

トップセールスマンだった男性が、殺人請負会社の仕事を目撃してしまったがばかりに口封じされそうになるんですけども、持ち前の営業トークで命乞いをして生き残り。その殺人請負会社の立て直しをはかる、という話です。

スリリングな展開で、一気に読ませるエンターテイメント小説でした。
裏社会モノが苦手でなければ、普通に楽しめるんじゃないかなと思います。普通の感想はぜひAmazonのコメント読んでください。

この感覚、分かるなあって。

で、ここからはわたしの視点を書きますね。

この作品の中で、とくに面白いなあって思ったのは、
主人公が全く未経験の世界で、活き活きし始めるところなんですよね。

作中で、主人公は、営業力(まあ話術ですね)で生き残るために、いろいろな策略を使って見込み客や同業者を出し抜いていくんですけども、
もともと彼は、昼の世界では営業マンで、最後はハウスメーカーにいたんですよ。防犯カメラや関連商品を売りつけて、消費者からお金をむしり取るような仕事で、毎月トップ成績。どの会社に行っても誰よりも売る。だけども、それをなぜか空虚に感じていたわけです。
営業成績が前月比240%を達成しても、「ぜんぜん嬉しくない」みたいな。

それが、殺人請負会社で生き残るために働くことになってからは、命のやりとりが身近にある世界に身を置くことになり。自分のスキルを必死に使っているうちに、アドレナリンでバキバキにキマッて、活き活きしちゃうわけですよ。
仲間に「お前、なんか楽しそうだな」って言われちゃう。

この感覚、分かるなあって。

未経験の世界に飛び込んで、必死になった人なら、分かる感覚だと思うんですよ。

やっべ、どうしよう。やったことないけど、やるしかない!
~からの……
あっ、やってみたら、なんとか出来たじゃん。

コレです。

やったことないことなんだけど、必死に今までの経験を駆使してやってみたら。
身に着けてたスキルが、意外に無駄にならなかったというか、自分には不可能だと思ってたことが出来ちゃうことがあるんですよ。
わたしも正直、今までの人生の中で何回もあります。

これねえ、めっちゃ気分いいんですよ(笑)ほんとにウヒョォォ! ってなりますよ。

必死になるって、けっこう面白い

実は「必死になって頑張ってみる」って、人生を面白く過ごすための、シンプルで且つ強力なライフハックなんですけど、世の中の人にはあまり知られていないんですよね~(笑)

必死になってるときは、もちろんぜんぜん面白くないんですけども。それを乗り越えた時はウヒョオオオ!って歓喜できるんですよ。
ツラい登山に挑戦して、登り切ったときに「やったー!」ってなるのと一緒。

もっともっとシンプルに言うと、困難や障害に必死になるだけでもいいんですよね。やりきった感さえあれば。

「殺し屋の営業術」に話戻って。
読んでて、そのあたり主人公に共感してしまったんですよね。
分かる~。自分のスキルとか作戦がうまくいったとき、めっちゃ脳汁出るよね~って。

ネタバレになるので伏せますが、主人公が必死な状態を維持するために、常に緊張状態になっていて。追い詰められて人としての制限や自重心がどんどんなくなっていくのも物語の仕掛けとして面白かったです。

以上。
ちょっと違う視点からの感想、でした。

最後にもう一度書きますが、

未経験の場に身を置いて、必死になって困難を乗り越えることをやってると、ほんとに人生が面白くなります。
そして、ついでに心に強度がつくので。心の筋トレとしてもいいんすよね。

必死になること、超オススメ! です(笑)